品種で知る羊の世界――野生の近縁種から肉・羊毛・乳用種まで

羊は、肉や乳、羊毛、毛皮などを通して、古くから人間の暮らしを支えてきました。世界には1000を超える品種があるとされ、それぞれの土地の気候や用途に合わせて改良されてきました。
ただし、羊の用途は明確に一つへ分けられるものではありません。肉用品種からも羊毛が得られ、羊毛を主目的とする品種の肉が利用されることもあります。ここでは、それぞれの「主な用途」を基準に紹介します。
家畜羊の祖先に近い野生羊
アジアムフロン:
西アジアを中心に分布する野生の羊です。家畜羊は、約1万年前にアジアムフロンに近い野生集団から家畜化されたと考えられています。
アルガリ:
アジアの高山地帯に生息する大型の野生羊です。家畜羊の直接の祖先とはいえませんが、一部の家畜羊にアルガリ由来の遺伝的要素が入っていることが確認されています。パミール地方に生息する亜種は「マルコポーロヒツジ」と呼ばれ、マルコ・ポーロが記録した大きな野生羊と結びつけられています。

主に肉用として知られる品種

サフォーク:
イギリスのサフォーク地方で成立。黒い顔と四肢が特徴で、日本でも登録数の多い代表的な肉用品種です。

テクセル:
オランダのテセル島原産。筋肉が発達し、脂肪の少ない枝肉を生産します。
ラサ・アラゴネサ:
スペインのアラゴン地方で飼育される肉用品種です。
サウスダウン:
イングランド南部原産の歴史ある肉用品種で、ほかの羊に交配する種雄羊としても利用されます。
アイスランディック:アイスランド固有の羊。歴史的には肉・乳・羊毛に利用されてきましたが、現在は肉生産が中心です。

肉と羊毛の両方に利用される品種
ロムニー:
イギリスのケント地方原産。肉に加えて、長く丈夫な羊毛も利用されます。
コリデール:
ニュージーランドで作られた代表的な両用品種です。
チェビオット:
イングランドとスコットランドの境界地域を原産とする丈夫な山岳種。肉と羊毛に利用され、羊毛はツイードなどの原料にもなります。
コーカシアン:
ロシア北コーカサスで作られた、細毛の羊毛と肉を生産する品種です。
乳用として知られる品種
イーストフリージャン:
ドイツ北西部からオランダ北部にかけてのフリースラント地方に由来する、世界有数の高乳量品種です。羊乳はチーズやヨーグルトなどに加工されます。
乳・肉・羊毛に利用される品種
アワシ:
中近東から西南アジアに広く分布する、歴史の古い脂肪尾羊です。乾燥した環境への適応力が高く、乳・肉・カーペット用羊毛の三つに利用されています。